トップへ » 医院について » 院長・副院長あいさつ » 開業し、早40年となりました
開業し、早40年となりました
根管治療に駆け抜けた青年期
1973年に東京の四谷(番地名:新宿区四谷本塩町)で開業し、早40年になります。開業当初は大学で実践していた「ラバーダムをかけて根管治療をする」ことを実行し、治療成績をチャージの面で獲得できればというのが私の夢でした。従って根管治療にはそれなりの時間をかけてやっておりました。
歯科医院の実状と己との葛藤
その頃、一般的歯科医の多くは1日50人、もしくは100人以上の患者さんを診ているのが通例でした。しかし、同世代の開業医たちも、根管治療などに長い時間をかける歯科医はほとんどおらず、適切な根管治療が行われていない憂うべき状況でした。かく言う私も、ラバーダムをかけての根管治療の結果が良いものかといえば、そうでもありませんでした。 振り返ると己との葛藤が絶えない日々だったと思います。
完成度の高い根管治療を目指し、技術を研鑽
当時は、同業者の噂や歯科雑誌の情報からいろいろな講演会や研修会を受講し、実践を試みました。しかし、積極的にその技法を取り入れるにはさまざまな疑念を感じる期間が続きました。あるとき、ボストン大学の根管治療の名医と言われるシルダー先生の講演会に出席し、その症例の美しさと治癒像に感激したのを覚えています。その技法はウォームガッタパーチャーテクニックでした。日本でもO先生が開発したオピアンキャリア法というウォームガッタパーチャーテクニックがありました。しかし、この技法にはまだまだ難点があり、個人的には全面的に受け入れられるものではありませんでした。かと言って、シルダー法テクニックを身に付けるのは至難の業でした。(※シルダー先生は、個人的には自分の手技を教えなかった方なのです。しかし、現在ではその教わらなかったシルダー法テクニックも安全に実践でき、人にも教授できます。)
苦悩の日々と「レオロジー」との出逢い
O先生の技法の最大の難点を解決するにはどうしたらいいか、苦悩の日々が続きました。ところが、ある日突然、技術的にはこうあるべきだと言うヒントを得て、その手技に従って根管治療をすると、驚くべき良い結果が出るようになりました。しかし、私には裏付けとなるその原因と仕組みを他の歯科医に説明する手立てがありませんでした。 それを解決するため、しばらく流体力学の専門書を読み漁ったのを今でも鮮明に覚えております。
その中でたまたま見つけた「レオロジー」と言う概念が、開発した治療法を理論武装するものであると確信し、今日に至るまでの根管治療法「RET深田法」の礎が完成したのです。また、そのRET深田法を伝えるための「深田式透明模型」の開発にも成功します(※深田式透明模型は棚橋発明賞受賞)。このトレーニングツールを開発したことも、RET深田法を発展させた一助になっていると思います。
RET深田法研修者は延べ1300名
1979年から今年までRET深田法の研修会を開催し、延べ1300名の歯科医の方々が受講しました。ただし、そのうち何割の皆さんが実践されているか定かではありません。RET深田法は、決して安直な技法ではありませんので、実践している歯科医はせいぜい200名止まりなのではないかと推測します。
1979年から1982年、理化学研究所高分子物理・生体物理研究室(主任研究員は深田栄一博士)の外部非常勤研究員としてレオロジーおよび圧電気・生体電気理論の指導を受け、RET深田法の研究を発展させました。
世界で認められる、RET深田法
1981年、AAE(米国歯内療法学会)にて、根管治療の分野において、世界で初めてレオロジー理論を取り入れた「RET深田法」を発表し、大きな評価を得ました。 友人のレイモンド・T・ウェーバー先生(元フロリダ歯学部歯内療法準教授)は、そのときの感想を拙著(※『抜かずに治せる根管治療』)の推薦文で、このように書かれています。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
推薦の言葉
フロリダ大学歯学部助教授 レイモンド・T・ウェーバー
深田先生は歯内療法学の分野に華々しく登場し、名声を確立しつつある学究である。先生の業績は、日本国内は言うに及ばず、当合衆国においても、1981年度全米学総会での講演を通じて、広く本学に携わる者の衆知するところとなった。歯内療法大系を形成する諸学の厳密な考究に対する先生の献身は、本学の成果を最大ならしめるための貴い努力である。先生の目的達成に対する熱意、広汎な臨床経験、不断の研鑽、これらが相俟って、ここに「レオロジカル・エンドティック・セラピー」として、先生の思想の集大成をみた。これは歯内療法の究極の理想を追求してきた先生にとって、その目的の成就と言うべきものである。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
現在は、RET深田法のほかに水酸化カルシウム療法も併用し、さらに治癒率の高い根管治療を目指しています。
骨再生との運命的な邂逅
理化学研究所に出入りするようになって、深田栄一博士から圧電気や骨と電気刺激の理論の存在を知り、多年に渡りこの理論を応用する方法がないか研究してきました。
1976年 全くの偶然でしたが、歯周病に罹患し、骨が吸収した症例で初めて非外科的に骨再生に成功した症例に遭遇しました。それから少しずつ骨再生例が増えていきましたが、こうすれば高確率で非外科的に骨再生する事ができる、という理論や裏付けはありませんでした。
ところがある日、深田栄一博士より送られてきた生化学の分野の学術論文を読んで大きなひらめきを得て、私の治療法をさらに発展させる理論的な確証を得ました。そのときの感激は一生忘れません。それが現在の歯周病治療「Fメソッド」として発展してきました。
歯槽骨再生がライフワーク
1990年代に入ってから非外科的な「歯槽骨の再生」が私のライフワークになり、大学や歯科医師会からの講演依頼が続くようになりました。
根管治療が必要な重症虫歯には「RET深田法」、重症歯周病歯には「Fメソッド」を確立できるようになったのは、深田栄一博士との出会いが大きく貢献していることは言うまでもありません。なお「Fメソッド」については2001年、日本歯周病学会秋期学術大会より、2005年、日本歯周病学会春期学術大会まで10の研究発表がされています。大きな反響がありました。
1982年、根管治療について朝日新聞で紹介され、来院された多くの患者さんの重度の虫歯を救済。2007年、2009年には読売新聞、東京新聞、中日新聞で「Fメゾット」が紹介され、これを機に来院された、歯周病患者さんの1000カ所に非外科的療法で歯槽骨の再生をもたらすことができました。
トップへ » 医院について » 院長・副院長あいさつ » 開業し、早40年となりました