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2013年11月13日

FMS(フカダメタルスプリント)について

当院ではプレミアム義歯(特別義歯)をFMS(FMSはFukada Metal Splintの略称)と名付けています。ここで使用されているSplint(スプリント)は通常、固定装置という意味で使われています。

咀しゃく機能の回復に根ざすプレミアム義歯
歯周病患者さんが当院に来られるとき、すでに何本か歯を失っているのが実状です。そういう患者さんには歯周病そのものを治癒させるだけでなく、咀しゃく機能を回復するサポートをすることも私たちの職務です。患者さんと接していると、「厚切りのステーキを普通に食べられるようになりたい」、「おせんべいを食べたい」 と思う気持ちが痛いほど伝わります。しかし、部分入れ歯を入れてしまうという発想は早計です。一般的に、部分入れ歯を入れてしまうと、かえってバネをかけた歯の歯周病が悪化して早期に歯が抜けてしまう通説があります。

部分入れ歯の欠点を改善
FMSはこうした部分入れ歯の欠点を大幅に改善して考案されたものです。特に、残っている大事な歯を保護する機能を具備することは、プレミアムであることの大切な要素となっています。このような工夫により、歯が抜けた歯周病患者さんにFMSを装着しても、長期間に渡り、周囲の歯を痛めることなく安定して使用できるのです。もちろん、歯の抜けた原因が歯周病ではない方にもバッチリであることは言うまでもありません。

15年以上の長期安定の条件

インプラントの代替療法としての長期安定をご提案プレミアム義歯
当院では、FMSの長期安定の目安をおおよそ15年以上に設定しています。インプラントの代替療法としてFMSを位置づけているからにはこのぐらいのハードルは必要です。しかし、15年以上も入れ歯が長持ちするには、いろいろな条件が伴わなければなりません。

それにはコウ歯(バネをかける歯)の健康度がカギを握ります。現実には、入れ歯の装着を必要とする患者さんのほぼ100%が、程度の差はあっても、すでに歯周病になっています。

長持ちする入れ歯にするには
(1)コウ歯の歯周病の「骨再生」
当院ではコウ歯の歯周病が「骨が再生する」ほど病状が改善することを目指します。幸いにも、当院に来院する患者さんは、大多数が歯周病を主訴(主な来院の動機)としていますので、患者さん自身も歯周病改善の自己努力を惜しみません。ちなみに、すでに歯周病で歯を抜かれている患者さんには、FMSの理論を応用した仮の入れ歯を装着して、治療を進めていきます。 

(2)コウ歯の歯根の先の病変治癒
コウ歯の歯根の先に病変があれば、精度の良い根管治療をして病変を治癒させます。根管治療には、RET深田法を適用いたします。

RET深田法とは

(3)入れ歯からコウ歯に伝わるストレス軽減
入れ歯からコウ歯に伝わるストレスが歯周病を悪化させる不正な力にならないようにすることはもちろん、入れ歯から伝わる力がコウ歯を保護する役目を果たすよう設計しています。

これさえ守れば、美味しい食生活が待っていますプレミアム義歯
以上のようにFMSが長持ちする理由は、まずコウ歯の病気を治すことに重点をおいている点です。そして、入れ歯の設計が精密であることです。また、患者さんの積極的な治療への参加が必要であることは欠かすことができません。先ほどお伝えしたように、重度の歯周病患者さんで、すでに歯が抜けている方から「ステーキやエビの天ぷら、トンカツが食べたい」という言葉をよく聞きます。その希望を達成するためにも、一緒に頑張りましょう。

【特徴1】

【1】
入れ歯と言うと、入れ歯そのものを単独に考えてしまいがちです。しかし、FMSの場合、コウ歯(バネをかける歯)と入れ歯は見かけ上は別々ですが、あたかも一対のようなものになっています。まさしく、"一身異体"の関係ということになります。そのため、コウ歯と入れ歯がコミュニケーションを取り合えるよう、コウ歯には入れ歯からの物理的信号を伝えるための仕掛けがしてあります。

FMS具体的には、コウ歯にはそのための修復物(被せもの)が必ず装着され、それには入れ歯のバネが収まる精密な細工「ブレーシングアーム(またはアームレスト)」の加工がなされています。この精密なバネにはコウ歯の病状、位置、種類などによって数十種類の設計パターンがありますので、さまざまな症例にも対応可能です。 

【2】
人工歯や歯肉のところは良質のプラスティックを使用しておりますが、ほかの大部分は金属、当医院ではチタン材を採用しています。バネには金合金を用いています。 

【3】FMS
FMSが首尾よく患者さんの口に馴染んでいるかは、定期的にコウ歯のレントゲン写真を撮影し、歯根膜の健康度を診断します。このように診断することで、入れ歯の心地良い使用感を維持していきます。

【特徴2】

FMSがプレミアム義歯と言われる理由は、残っている歯の病状を徹底的に改善してから装着することに由来します。また、装置の仕組みでは、FMSという入れ歯は被せものと一対であることが挙げられます。長い期間、快適にご使用いただくためには、患者さん自身のセルフケアも欠かすことができません。

歯冠修復物と入れ歯は、異なる技工所の二人の優秀な技工士さんが製作しております。この二人の秀逸な技能を融合させるのが歯科医としての力量が試されるところです。イチゴの種やゴマ粒が入れ歯と歯肉の間に入り込んでしまうようでは、その入れ歯は当院の基準からは外れ、不良品となります。このような入れ歯を入れていると、間もなくコウ歯(バネをかける歯)がグラグラになって抜けます。歯周病で歯が抜けている方は入れ歯を入れても、やや固めの麺類を噛み切るのが苦手なのですが、当院の患者さんは天ぷらやおそば、スパゲッティを前歯で噛み切って食べることができました。「こんなふうに天ぷらやおそばを食べるのはもう無理だと思っていました。夢みたいです」との言葉をいただけたことが誇りです。

【構造】入れ歯のバネとかぶせもの(歯冠修復物)

症例
術前(上顎)
次へ 症例
術後(下顎)

上記の写真を見比べていただくと分かるように、入れ歯のバネがしっかりと細工(溝)にはまっていることが分かります。このようにバネが溝にしっかりとはまることで、着け心地良く使用することができます。

医院理念:「知・情・意」~人間が持つ3つの心の動き~

理念

「知」とは
理念学術性、科学性、知識、知恵などに相当する領域を意味します。歯科医療における「知」とは、歯科知識、研究、研鑽、技術などにあたります。知識は正しい治療を導き、研究や技術はその正しい治療を達成させるのに不可欠なものです。

日々、進化する歯科技術。もちろん、最新の医療機器も大切ですが、最後に患者さんを完治へ導くのは歯科医自身の手による技術。間違っても、治療技術が自己目的化してはなりません。常に全ての知識、技術は患者さんのためにあることを忘れず、私たちは日々の研鑽を繰り返し、正しい知識と技術をもって、患者さんと共に歩んでいきます。

「情」とは
理念絆、情愛、感情などに相当する領域を意味します。歯科医療における「情」とは、患者さんとの間に育まれる信頼関係や絆などに当たります。当院に来院される患者さんの多くは、歯周病治療や根管治療の難症例を患う方が多く、最後の駆け込み寺として訪れます。今までのうまくいかなかった治療の経験から、治療に対し猜疑心を持っている方が多いのも特徴のひとつです。

そのような患者さんを完治させるには、歯科医一人だけでは決してできません。たとえ、最高の技術と知識を持っていたとしても無理だと断言できます。ここで大切なのは、患者さんと共に完治へ続く道を歩んでいこうとする心情なのです。治療は1~2年におよび、とても長い期間となります。その期間を一緒に乗り越えていくためにも、確かな信頼関係を築き、共に回復へ向かう努力が不可欠なのです。そのような関係性から導かれた「完治」は、となってより深いつながりへと昇華します。うれしいことに、当院には、そのような絆でつながっている患者さんが全国各地におります。そのような方々との絆はもちろん、新たな患者さんとの間にも、絆を育んでいけたらと思います。

患者さんの声はこちら

「意」とは
理念意識、決意、信念などに相当する領域を意味します。歯科医療における「意」とは、どんな難症例に対しても決してあきらめない断固たる意志が、それに当たります。例えば、目の前にいる患者さんが難症例の方だとしたら、自分では手が負えないと言って、その方への治療を施すことなく、見放してしまうのは正しい歯科医の在り方なのでしょうか。だとしたら、なんのための歯科知識や研究、技術なのでしょうか。もし、そうなのだとしたら、それはすごく悲しいことです。我々は、難症例だからといって決してあきらめず、己の持つ知識と技術を総動員し、患者さんとともに完治を目指します。難症例だからといって、歯科医に匙を投げられた患者さんが当院を頼ってくれたのであれば、最後の最後まで決してあきらめることなく治療をさせていただきます。そして、完治後には共に喜びを分かちあいましょう。

「知」「情」「意」、これが理念です
「知」「情」「意」、どれひとつ欠けることなく、治療に取り組む。これが当院の理念です。この理念のもと、重度の歯周病や根管治療の難症例で悩み苦しむ患者さんを、一人でも多く快方に向かって共に歩んでいけたらと考えております。

はじめに人ありき、医療であれば患者ありき
歯科医のために患者さんがいるのではありません。患者さんのために歯科医が存在する。とても当たり前のことですが、この姿勢を当院は決して忘れないことを誓います。そのようなことを強く意識する姿勢が、患者さんとの信頼関係を育んでいく上で常に意識しなければならない大切なことなのです。

何のための歯科技術か?何のための医療機器か?常に自らに問いかけ、決しておごることなく患者さんと向き合っていきたいと思います。

当院の治療方針とは

治療方針

フカダデンタルクリニックは「治癒」という言葉にこだわります
虫歯が進行すると、根の先に膿(うみ)の袋ができて骨が無くなります。また、歯周病が進行すると、歯の周りの骨が溶けます。これらの2つは、骨の吸収を伴う病気です。当院はそれらに対して、より効果的な治療をして、歯の病気が治る=「治癒」にこだわっているクリニックです。また、歯周病においても「骨の再生」がなければ「治癒」したと認めません。

1.疾病の悪化抑止と病状の改善
2.口腔機能の回復
3.組織の再生
4.患者さんの精神安定

この4点をもって、「骨の再生」を伴う「治癒」を目指します。

望ましい歯科医療を受けるために
多くの患者さんが、ひょっとすると抜かずにすんだかもしれない歯を抜かれてしまっています。これは正しい知識や技術を有しない歯科医に否があります。しかしながら、患者さんに望ましい歯周病治療や根管治療において、知識が多少なりともあったら、その事態を防げたかもしれません。一度抜けてしまった歯は二度と戻ってきません。大切な自分の歯のことだから、失う危険を回避するために、正しい治療について知っていただきたいのです。知らないばっかりに味わってしまう悲しみは、本当にやりきれません。

患者さんが歯科医を育ててください治療方針
医療は、医者任せの医療であってはいけません。昔から「国民のレベル以上の政府はできない」とか、「良い商品は良い消費者がつくる」と言われております。本当に良い歯科医療を望むのであれば、患者さん自身が正しい知識を持ち、望ましい歯科医を育ててください。患者さんの姿勢が歯科医療を「歯をいつくしむ医療」として発展させていくのです。はじめは自分の症状を自主的に調べてみたり、レントゲン写真の見方を覚えてみたりなど、簡単なことでいいのです。その一歩が、やがて大きな一歩となるのです。
 

「脱インプラント」への取り組み

治療方針インプラントの実状
インプラント手術を行っても、その周囲は歯周病になります。どんなにうまくインプラントを植立しても、15〜20年経つと歯槽骨は必ず痩せてきます。

歯が抜けると、歯根膜が失われます。歯槽骨の"生産工場の一部"である歯根膜がなくなるので当然なことなのです。

歯槽骨が痩せると、インプラントのプラズマ加工部は露出します。インプラントの下部構造(骨に入る部分)はらせん状に溝が掘られ、さらに表面がプラズマ加工され、小さなツブツブがあります。このプラズマ加工は骨に癒着しやすいのですが、一旦、骨から顔を出してプラーク(ばい菌のかたまり)に触れると歯周病になります。

こうなると、天然の歯と違ってインプラント歯周病(炎)は治りません。あとは進行の一途をたどります。なぜなら、歯根膜がないのでインプラントは'死んだもの'だからです。

最近、歯周病学会の発表にインプラント性歯周炎(インプラントの歯周病)が多くなってきたと言われています。また、インプラントメーカーの研修会案内にも「インプラント性歯周炎の対策」などのタイトルが目立ちます。問題は深刻化し、看過できない状況にあるのが現状です。

ビスホスホネート系薬剤使用患者と外科治療のリスク
ビスホスホネート系薬剤は骨粗しょう症において処方されています。このビスホスホネート系薬剤服用患者さんにとっての具体的なハイリスク歯科治療が下記になります。

1. インプラント手術
2.外科的歯周病治療(いわゆる歯槽骨再生手術を伴うフラップオペレーション)
3.抜歯(歯槽骨に過度の刺激を与えるケース)
4.その他、骨が露出する手術


現在、日本人の中高年女性の40%以上が骨粗しょう症だと言われています。さらに、過度なダイエットを実践した女性は将来、骨粗しょう症の発症率が4倍に跳ね上がるという研究データもあります。

なぜなら、骨粗鬆しょう症の発症は女性ホルモンの分泌と密接な関係があるため、若い女性の過激なダイエットは将来女性ホルモンの分泌異常を招き、結果的に骨粗しょう症の発症を引き起こす危険を含んでいます。

そのことを加味すると、潜在的骨粗しょう症患者も増え続けていることは明らかです。したがって、これからもずっと、ビスホスホネート系薬剤は日本人の中高年女性にポピュラーに処方されうる薬剤ということになりますので注意が必要なのです。

骨を再生し、自然な歯を残す
重症歯周病歯にはFメソッド、重症虫歯にはRET深田法を採用し、患者さん自身の自然な歯を残すという著しい効果を上げています。

当院では、この大きなふたつの治療法によって、歯槽骨を再生し、「脱インプラント」を追求していきます。


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